公開講座「もっと知ろう-世界の火山・山形の火山-」

日本火山学会会長 / 宇井忠英


 日本火山学会は火山に関する様々な現象に関心を持った研究者・技術者・教育者の集まりです。現在1200名余りの会員がおり、それぞれの専門分野は物理学・化学・地質学をはじめとして多様です。私たちは年に2回集まって研究発表を行い、専門の論文を収録した学会誌を出版しています。
 ダイナミックな火山の噴火は私たちの研究意欲をかき立ててくれます。普通の市民にとっても美しい火山の景観は心のやすらぎを与えてくれます。温泉や鉱産物資源の多くもマグマ活動の賜物です。しかし火山噴火は時として我々に災害をもたらします。例えば山形の市街地から見て西になだらかなスロープを見せる月山は火山体の大部分を破壊してしまうような激しい噴火をして裾野だけ残ったのです。
 我々日本火山学会では、専門家の持っている火山の知識を分かりやすい形で市民の方々に提供し、火山についてよりよく知っていただき、噴火の際の被害を少しでも軽減するのに役立ちたいと考えて、公開講座を行っています。第1回目は1994年に福岡で行い、その後東京、伊豆大島、松本と、主に日本火山学会の開催地で毎年開いて来ました。今年は明日から山形大学で開催される学会に合わせて行うことにしました。3名の第一線の研究者の方々にはこれまで手がけて来られたお仕事を分かりやすく講演して頂くようにお願いしました。話題は遠くアフリカの火山や身近な東北の火山での観測、蔵王火山の生い立ち、そして火山の災害や噴火予知の現状です。限られた時間ですが最後まで聴いて頂き、火山に対する理解を深め、また火山の防災についての知識を持って頂ければ幸いです。
 



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1998年9月,日本火山学会: kazan@eri.u- tokyo.ac.jp