公開講座「浅間山の火山活動と防災」

NPO法人 日本火山学会会長 平林 順一


 平成12年に噴火した三宅島では、現在でも大量の火山ガスの噴出が続いており、約4,000名の島民は帰島のめどが立たないまま、3年近い避難生活を余儀なくされております。富士山でも一時マグマの動きに関連した地震活動が活発化するなど、火山に対する関心が高まっています。

 NPO法人日本火山学会は、1,200名の会員が所属し、多方面から火山およびその周辺で起こる様々な現象について研究を行っております。また、学会活動の一環として、多くの方々に火山の営み、火山噴火のしくみや災害などについて知っていただくために、研究の一端をわかりやすくお話する公開講座を各地で開催しております。

 日本の風光明媚な観光地の多くは過去の火山活動で形成され、われわれは登山やレクリエーション、温泉保養など火山から多くの恩恵を受けています。一方、ひとたび火山が噴火すると、森林や国土の被害だけでなく、時として多くの人命が奪われてきました。爆発的噴火を繰り返してきた浅間山でも、1783年の天明の大噴火で発生した火砕流によって463名もの死者が出ました。その後、浅間山は19世紀末から1960年頃まで毎年のように噴火を繰り返してきました。また、1973年にも小規模な火砕流が発生し、噴煙が4,000mも高く上がる噴火が発生しています。その後も1982年、1983年、1990年に小規模な噴火がありました。最近の浅間山は、昨年6月頃から地震活動がやや活発になり、火山ガスの噴出量も増え、松などが枯れる現象も起こりました。また、本年2月〜4月の間には、少量の火山灰を噴出する微噴火が4回発生するなど活発な活動状態が続いています。

 日本火山学会の公開講座は第10回を迎え、最近少し活動的な状態にある浅間山を眼前に望む小諸市において開かせていただくことになりました。本日は地質・岩石学、地球物理学、測地学がご専門の3人の研究者に、浅間山の火山の生い立ちや歴史、最近の火山活動、研究の取り組み、最近の宇宙技術を使った火山観測などについてお話をしていただきます。これを機会に、皆様方に浅間山に対する理解を深めていただければ幸いです。




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2003年10月,日本火山学会: kazan-gakkai@kazan.or.jp