日本火山学会研究奨励賞 (Young Scientist Award)
第34号 三反畑 修
受賞対象
「津波記録に基づく海底カルデラにおける変動現象解明」
授賞理由
三反畑氏は、津波や地震波の観測データを駆使することで,観測が困難な海底火山活動に関する重要な知見をもたらした。伊豆諸島スミスカルデラの研究では、津波記録を用いて海底地殻変動の高解像度な空間イメージを推定し、トラップドア断層破壊という概念で地震の規模の割に大きな津波が発生する物理過程を説明した。その後、同様の現象が国内外の海底カルデラでも普遍的に存在していることを示し、観測データとマグマだまりの圧力を結びつける力学モデルを提案するなど、海底火山の活動度評価の定量化にも取り組んでいる。これら一連の研究成果は、海底火山の噴火予測や噴火に起因する津波リスク評価の精度向上に大きく貢献するものでる。また、国際共同研究を通じた成果も多く、2023年のIAVCEI 大会では若手研究者の総会講演を担当するなど、三反畑氏の業績は国際的にも高く認められ、将来のさらなる活躍が期待される。
以上の理由から、三反畑氏を2025年度日本火山学会研究奨励賞にふさわしいと認めた。