まず安達火山からお答えします。宮城県川崎町釜房湖北方の丘陵地に安達という集落
があり、その集落の周辺が凹地になっています。この凹地が安達火山です。現在は開
析が進んでおり、火口地形はあまり明瞭ではありません。7〜8万年前に一度だけ噴
火した単成火山であると考えられています。この時に噴出した軽石は、仙台市付近に
も1m程度の厚さで堆積しています。
次に花山カルデラについてお答えします。通常、「カルデラ」という言葉は火山性の
大きな凹陥地を差し、地形的な意味が含まれています。そのような凹地形は、時間が
経つとやがて浸食作用などで次第に元の地形が失われてしまいます。しかし、地形が
失われてしまった場合でも、その地域の地質を詳しく調べることによって、大昔は火
山性の凹地があったことが分かります。そのように地形が完全に失われてしまった大
変古いカルデラについても、地質学者は「カルデラ」の名称をもちいることがありま
す。花山カルデラも地質調査によって初めて存在を確認できる古いカルデラの一つで
す。ただし、大部分が鬼首火山からの火砕流堆積物に覆われているため、地質調査を
しても詳しい形態は分かりません。
秋田県で良く知られているカルデラ火山は青森県との県境にある十和田火山です。そ
の他、開析が進んでいますが、鹿角市と田沢湖町境の玉川カルデラ、宮城−秋田県境
付近の三途川カルデラなどもカルデラ火山です。どんな火山があるのか調べたいので
あれば、第四紀(約160万年前以降)の火山については、日本火山学会発行の「日本の
第四紀火山カタログ」 (第四紀火山カタログ委員会)CD-ROM版に掲載されています
のでそちらをご覧ください。また、花山カルデラのように古い火山は、あちこちに数
多くあることは確かなのですが、未だよく分かっていないものが多いです。現在研究
が進行中です。例えば秋田県雄勝町の院内盆地は、古いカルデラ(院内カルデラ)と
考えられています。
(09/21/02)
大場 司(東北大学・理学部・地球物質科学教室)
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