火山についてのQ&A |
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Question #49 | |
Q |
質問事項は2点ありますので、お願いします。
1.群馬県の榛名山は古墳時代に大規模な噴火活動を行い、当時の人々に
大きな被害を与えたとのことですが、、
その当時の噴火の規模はどれくらいだったのでしょうか?たとえば浅間山の天明噴火と
同等レベルだったのでしょうか?教えて下さい。
また、榛名山が再噴火することはあるのでしょうか?
2.年に1度、火山に登山します。今年は霧島山を縦走しました。旧霧島神宮跡から高千穂の
お鉢へ行く途中で、赤レンガ色の軽石が、登山道にたくさんありましたが、これらは直接噴火で
降下してきたものか、雨などの流水で溜まったものかどちらでしょうか?
また、霧島神宮が噴火で火災を起こし、移転するまでの影響を起こすような噴火は、どういった
規模の噴火だったのでしょうか?
(10/15/97) |
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A |
質問1:榛名山は古墳時代に大きな噴火を2回起こしており,古い方から,FA
(榛名二ツ岳渋川)の噴火,FP(榛名二ツ岳伊香保)の噴火と呼ばれていま
す.これらの噴火によって埋まってしまった古墳時代の遺跡の発見によって,
榛名山は1991年に活火山に指定されました.FA・FPの噴火と浅間天明噴火につ
いて,私は詳しく調査したことがないのですが,群馬大の早川さんによると,
その規模は彼の提唱した噴火マグニチュード(M)でFAがM=4.9,FPがM=4.8,
浅間天明がM=4.8だそうです(早川,1994).榛名山の直下ではときどき小さ
な地震が観測されていますので,今後も噴火する可能性があると考えてよいの
ではないでしょうか.
質問2:御鉢の登山道で見られる赤レンガ色の軽石(白色や黄色でない軽石をス
コリアと言います)の大部分は,今から750年くらい前の御鉢の噴出物です.
登山道周辺は荒れてしまい,雨などでスコリアが少し移動してしまったりして
いますが,もともとは噴火によって空から降ってきて堆積したものです.質問
にある旧霧島神宮跡は高千穂河原にある古宮址のことだと思いますが,実は霧
島神宮の前身はこの古宮址の場所に来る前には高千穂峰と御鉢の間の鞍部にあ
ったそうです.その宮は10世紀の噴火で焼失し,12世紀になって古宮址あとに
移されたと伝えられています.その後,この古宮址に建てられた宮も先のスコ
リアを噴出した13世紀の噴火によって再び焼失し,15世紀になって現在の地に
移されたそうです.神社を焼失させた13世紀の御鉢の噴火は,霧島火山の有史
時代の噴火では最大のものでした.
(10/15/97)
井村隆介(鹿児島大・理)
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