(1)この『ロス火山説』なるものは?
この記事については知りません.少なくとも火山学的な話題にはなっていません.
(2)もしあのような大惨事が大都市で起きてしまったら?
もっとおおきくなるかもしれないし,ちいさくなるかもしれませんし,どの程度に
なるのかは
・噴火の種類
・火口の位置や形状
・噴火の規模/体積
・周辺の地形
・影響範囲の人口の集中度
・噴火の推移、急に活発になるのか
・季節や時刻
などのさまざまな要因によって,いろんな結果になると思います.
ふつうの火山噴火は,既存の火山の火口で同じような噴火をくり返すことが多いの
で,過去の噴火記録を整理すればそれなりの傾向があって,ある程度の噴火の様子が
予測できるものなのです.ところが,これまでに全く火山がなかったところに新たに
生じる場合には,そのような経験則が通用しません.ですから,さまざまな災害が想
定可能です.だから,映画の想定が大きいとか小さいとかいうことはいえないでしょ
う.
御質問のように,都市の真下ではないにしても,近くで非常に大規模な噴火がおこ
って,都市が壊滅的な被害をうけた歴史的な事実はいくつかあります.地中海サント
リニ島の噴火とアトランティス伝説が有名ですが,イタリアのベスビオ火山とポンペ
イ,カリブ海プレー火山とサンピエールや,コロンビアのネバドデルルイス火山とア
ルメロなどもそうでしょう.
私達はそんなリスクを承知で火山の近くに住み続けているわけです.活火山の山麓
に首都移転を計画したりしているわけですから,この問題は文明論とかそんな次元の
話なのかも知れません.どの程度のリスクまで考慮して都市を建設するのか...で
すから,映画の想定が大きいとかちいさいとか,とても簡単には言えませんし,書け
ません.
あの映画は,自然災害でも人間の英知をもってすれば克服できる.多数の人間の自
己犠牲をともなうような献身的な愛や協力が必要なんだ.人種差別なんかは大きな自
然の前ではちいさな問題に過ぎない.そんな,テーマだったと思います.ですから,
そういうストーリー上の都合で,ちょうどなんとか対応できる規模の噴火を想定した
のだと理解しています.
火山砂防の計画でもそういう傾向はあるかもしれません.余りにも小規模だと計画
する必要がないし,大規模だと大きな施設でも防ぎきれない.人間のできることには
限りがあるのです.
(2/28/00)
千葉達郎(アジア航測株式会社・防災部)
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