火山についてのQ&A

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「Q&A火山噴火」

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Question #4012
Q 先日、一切経山に出かけました。浄土平の名の如く神秘的で現実離れした風景と対象的に中腹の大穴火口の地獄絵のような光景、改めて活火山の魅力を再認識しましたが・・
大穴火口の向こう側に続く火口列を見てみたいという衝動にかられ風もある事だしとほんの数歩火口淵を歩いたところ初めて(硫化水素臭はよく遭遇しますが)二酸化硫黄の臭いを感じ直感的にヤバイと思いすぐルートに戻りました。
火山ガスによる事故も最近結構おきていると思います。もちろん、窪地に行かない、ルートを外れないといった行為がこれらの事故を予防する最低限の方法だと思いますが、私たちのような素人がふいに高濃度の火山ガスを吸い込みそうになってしまった時身を守るためにとるべき行為について(特に布で口を押さえるとしたら濡れていた方が良いのか乾いた方が良いのか)教えて頂けませんでしょうか。よろしくお願いします。 (06/14/03)

アマンタジン:医師:28

A
 質問なさっておられる方が医師でいらっしゃるということで,ご質問の内容につい ては,我々よりもずっと専門家でおられると思います.むしろ,硫化水素ガスや二酸 化炭素ガスによる「ガス中毒対策」ということで,「救命救急法」の一つとして,我 々にご教示いただけるとありがたい事項です.
 我々の立場からしますと,先ず,一番大切,かつ有効なことは,「不意に高濃度の ガスを吸いそうになる」状況こそを作らないようにすることです.ガスは見えません し,多くの場合,嗅覚も危険度のあてになりません.有毒ガスに関しても,「君子危 うきに近寄らず」というのは生物である限り絶対的に必要なことでしょう.登山をな されるときに,天気やルートを予め確認されるはずですが,噴気情報などでもインタ ーネットや,地域(宿泊施設を含む)に配布した防災マップなどでもかなり手軽に入 手できるようになってきていますので,そういうチェックを,持ち物チェックと同様 に行う事を啓蒙する必要があるでしょう.さらに,行政なども二重三重の防災対策を し,危険を回避するしかないと思います.万一,ご質問のような事態に遭遇しても, 多くの方の場合,「遭遇していること」自体にに気がつかない,あるいはにおいが気 になっても,危険濃度でないと思ってしまったまま,重大な事態に至ってしまうのが 実際だとおもいます.
 大きな事故に至る火山ガス災害例では,ご案内のように,窪地,あるいは凹地にガ スが滞留している状況の下,気がつかずに浸入し,事故に遭遇する場合が非常に多い です.1997年,安達太良火山のガス事故の現地では,数mの距離内でガス濃度が急激 に変化していました.ですから,あえて危険な状況下で登山を行う場合,ガス発生源 に直接つながる窪地や谷沿い,特に,空気よりやや思いガスが貯まりやすい地形のと ころを避けることです.ガスが希釈される,空気の通りの良いところ,あるいはガス 発生源の風上側などを選んで通過するしかありません.いったん,危険個所に踏み込 まれてしまった場合,ガス事故の場合,救助しようとして二重遭難に至ってしまうケ ースがかなり多いようです.
 ご質問の答えにはなっておりませんが,関連コメントとしてお受け取りいただける と幸いです.
 (06/23/03)

藤縄明彦(茨城大学・理学部・地球生命環境科学科) --


May 2012. The Volcanological Society of Japan.  kazan-gakkai@kazan.or.jp