火山についてのQ&A |
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Question #3766 | |
Q |
はじめまして。 近頃、小笠原父島へ旅行をし、うぐいす砂を見たんですが、それがボニナイトという岩石だということを知りました。興味を持っていろいろ調べているうちに、50kmはなれた母島とは成因や構成する岩石が違うこともわかりました。父島と母島は近いにもかかわらず、どうして違う岩石が産出しているのでしょうか? 加えて、母島から西にある、母島海山(小笠原古陸とも言うようですが)についても興味が出てきました。どうやら、塩基性岩やそれが変成してできた蛇紋岩で出来ているようですが、いつ頃、どうして出来たのかなど、詳しいことが知りたいと思い、質問させていただきました。できれば両方にお答えいただけると幸いなのですが、よろしくお願いいたします。 (01/15/03) らいちゅう:学生:21 |
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A |
小笠原諸島の島々は今から5000-4500万年ほど前の火山フロントで活動した島弧火 山です。父島以北の島嶼(父島列島,聟島列島)は5000万年ほど前の海底火山の集ま りで,少なくとも漸新世(今から3750-2250万年前)以降に隆起して島となりまし た。これらの海底火山は現在の伊豆ー小笠原の火山では産出しない,ボニナイトとい うMgの含有量が高い特殊な安山岩の溶岩でできています。この安山岩には古銅輝石 (斜方輝石の一種)という緑色の鉱物が多く含まれています。そのため,この岩石が 風化浸食を受けると固い古銅輝石だけが残り,やがて波に洗われて古銅輝石が海岸に 集まり,うぐいす砂となります。小笠原のボニナイトには古銅輝石の他に単斜エンス タタイトという乳白色の輝石を含むものがあります。この鉱物は隕石に含まれること がありますが,地球上の岩石ではボニナイトやボニナイトマグマがゆっくりと冷えて できた深成岩にしか産出しない,とても珍しい鉱物です。
海野 進(静岡大学・理学部・生物地球環境科学科) |