火山についてのQ&A |
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Question #258 | |
Q |
ぼくは、小学6年です、修学旅行で熊本県の阿蘇火山博物館に行きました。
1.阿蘇山のカルデラが出来たときに、どんな事がおきましたか。
2.南阿蘇国民休暇村にキャンプに行きました。根子岳の山頂のギザギザは、なぜ出来ましたか。
(8/16/99) |
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A |
1. 阿蘇火山博物館にはこのあいだ僕も行きました。とても面白いところで、火山が
すごく身近に感じられますね。さて、阿蘇山のカルデラは4回の大噴火で出来ました
。大噴火の時には、火砕流(かさいりゅう)という、熱く溶けた岩や軽石や火山灰の
混じったものが遠くまで流れました。そのうち最も遠いものは山口県にまで達してい
ますし、また海を越えて島原半島にも渡っています。火砕流はあまりにも熱いので、
もう一回固まって溶岩と同じくらいカチンカチンの岩石になったりもします。この岩
石は、火山灰が溶けたという意味で、溶結凝灰岩(ようけつぎょうかいがん)と名づ
けられています。また、火砕流は空高く30キロメートル以上まで吹き上がり、さらに
西風にのってはるか遠くまで飛んで行きました。なんと九州から出た火山灰が北海道
まで運ばれていて、そこでは10センチメートルの厚さの火山灰が今でも残っています
。阿蘇山のカルデラが出来たころには、九州全土で人間がどこにも住めないような荒
れ地になっていたと思います。また、カルデラは直径20キロメートル近い大穴を作っ
たわけですが、そこには何千年もかかって湖が出来たり、中岳などの中央火口丘が出
来ました。なお、最後の阿蘇山のカルデラが出来たのは約9万年前です。ずいぶん昔
の事のようですが、阿蘇山はその後もずっと活動を続けていて、今でも活きているの
です。
2. 根子岳というのは阿蘇山のカルデラの中にありますね。実はカルデラをつくった 4回の噴火のうち、根子岳は2回目と3回目の間に出来ました。数字で言うとたぶん13 万年前ころに出来ました。根子岳の山頂のギザギザは、このように時代が古いために 浸食が進んだ結果できたのです。根子岳の登山は大変に難しく、上級者でないと登り 切らないそうです。それは上の方では、岩脈(がんみゃく)といって平たく伸びた薄 い岩が切り立っているからです。岩脈というのは、根子岳をつくったマグマが地下か ら上がってきた時につかった通路が固まったものを言います。通路の方がかたくて、 後まで残ったというわけです。つまり根子岳というのは、現在の阿蘇山のカルデラが 出来る前の小さな火山が、長い時間にけずられてできた、ギザギザの火山ということ ができます。 (8/17/99) 鎌田浩毅(京都大学・総合人間学部・地球科学分野)
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