火山についてのQ&A

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「Q&A火山噴火」

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Question #1867
Q 夏休みに虻田町の火山科学館に行ってきました。
1977年の噴火の時の火山灰と2000年の火山灰が展示されていましたが、色も形も違います
これは噴火の種類の違いによるものでしょうか? 1977年の噴火はプリニー型、2000年はマグマ水蒸気爆発と聞いておりA1997年のものはマグマが多く、2000年のものは火口付近の不純物が混じり、水蒸気で細かな石になったもの思いますがいかがでしょうか? (09/19/01)

Issei:高校1年:15

A その通りです.火山灰の色や形,含まれる粒子の種類は噴火のタイプによって決まっ てきます.

1977年の噴火では大小様々な爆発が起こりましたが,そのうち軽石を降らせるような 大きな爆発は"プリニー式噴火"というタイプの噴火でした.このタイプの噴火では, マグマがそれ自身含んでいたガス成分によって発泡(カルメ焼きができる場面を想像 してみて下さい)し,爆発的に噴火します.そのときに吹き飛ばされる火山灰は,発 泡した"マグマそのもの"のしぶきが急に冷やされて固まったものがほとんどで,それ らは良く見ると細かい気泡をたくさん含んでいたり,ガラスのように尖っていたりし ますし,色はマグマの組成を反映した色(有珠のようなデイサイト質マグマでは白〜 灰白色)になります.

一方,2000年の噴火は,"マグマ水蒸気爆発"あるいは"水蒸気爆発"というタイプの噴 火でした.このタイプの噴火では,基本的にはマグマが地下水に接触することによっ て地下水が急に沸騰させられて爆発(線香花火の火の玉をバケツの水に落としたとき の様子を想像してみて下さい)します.このときに吹き飛ばされる火山灰の多くは, マグマの通り道や火口付近の地層が砕かれて混じり込んだ様々な物質からなります. そのため,良く見ると火山灰粒子には様々な色・形のものが入り交じっています.有 珠火山2000年噴火の灰の場合,1977年のものに比べて全体に黒っぽく(場合によって は赤茶っぽく)見えたのではないでしょうか?

なお,有珠火山2000年噴火の爆発の中では,一番最初の3月31日噴火だけは特別でし た.このときの"マグマ水蒸気爆発"では,火山灰のうち約半分も"マグマそのもの"が 含まれていました.このため,典型的な"マグマ水蒸気爆発"と"プリニー式噴火"の中 間的な性質を持つ噴火だったのではないかとの説が提案されています.

参考までに,"マグマそのもの"が固まったものは「本質物」と言い,混入物は「異質 物」とか「類質物」などと言います.火山灰を調べる時には,どの粒子が「本質物」 であるかを突き止めることがまず大事になります.
 (10/15/2001)

東宮昭彦(産業技術総合研究所・地質調査総合センター)


May 2012. The Volcanological Society of Japan.  kazan-gakkai@kazan.or.jp