火山についてのQ&A |
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Question #185 | |
Q |
@水中火砕流について、地学事典では水底噴火の場合に熱の保持がありうるとか、ありえないとか掲載されているのですが、実際の話、水底噴火による水中火砕流という噴火はあるのですか?
あるとすれば、その堆積物の特徴を教えて下さい。同じように水中軽石流についても、水底での噴火様式と堆積物の特徴を教えて下さい。
A数年前より、防災上の観点から水中火山岩が注目されております。 水中火山岩といえば火山屋さんより地質屋さんの研究が多いような印象を受けます。また、水中火山岩の分類について未だ判然としない点もあると思います。 火山屋さんの中には、水中火山岩について噴火様式→堆積様式をより明確に認識している方々も居られると思います。 不明瞭な質問かもしれませんが、堆積構造より火山噴火の観点から見た、水中火山岩の分類を行っている研究などがありましたら是非教えて下さい。 また火山学会として水中火山岩の位置づけを教えて下さい。 (1/29/99) |
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A |
日本のグリーンタフ地域には凝灰角礫岩や火山角礫凝灰岩などの岩相が非常に多く
発達しています。そのなかには成因的に水中火砕流と考えて良いものが多く含まれ
ています。
水中火砕流は連続性がよく鍵層として有効で、特に軽石流は連続性がよいようで す。南部フォッサマグナでは富士川層群の和平凝灰岩層や丹沢の大沢凝灰岩層など が有名です。繊維状発泡した軽石が変質してあざやかなグリーンのパッチを持って いることが多いから明瞭です。 和平凝灰岩層を記載したFiske and Matsuda(1968)は大規模水中軽石流の特徴と して二重級化構造を持つことを指摘しています。まず、単層内部で、上方に細粒化 する級化構造をもち、粒子の構成でも上方ほど軽石が多く下部ほど岩片が多いとい う特徴があります。さらに、一つの水中火砕流は多数の単層群から構成され、その 中でも全体として上方細粒化と上方薄層化がみられるという特徴です。このような 特徴は、水底で発生した密度流の特徴とされています。 この中でも、上部ユニットのの細粒部分は、ガラスの粒子が多いため石器状に割れ ることが特徴的であり、いくつかの遺跡では石器として加工されたものも発掘され ています。 また、粗粒部分は節理があまり発達しないために非常に大きなブロックとなって崩 壊することが多いようです。 これらの火砕堆積物の分類を他の火山噴出物との関連で系統的に行ったのは中村一 明先生で、このような水中火砕流はW-W-W型と分類されているものに相当すしま す。水中噴火-水中運搬-水中堆積というわけです。 このような水中火山岩の研究は最近では北海道地下資源調査所の山岸先生が精力的 に研究されています。 (2/13/99) 千葉達朗(アジア航測(株)防災部)
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