火山についてのQ&A |
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Question #184 | |
Q |
各マグマ(玄武岩マグマ・安山岩マグマ・流紋岩マグマ)の粘性度に関してお尋ねします。
マグマに揮発性成分(成分がマグマに溶けている場合)が多く解けている場合、そのマグマの粘性は
小さくなると本で読みました。又、上記の3種のマグマにおいては、シリカの含有量に応じ玄武岩>
安山岩>流紋岩の順で粘性が上がると習いました。ところが、この3種のマグマの揮発性成分含有量
も、粘性が高くなる順番と同様に、玄武岩>安山岩>流紋岩の順で上がるとこのHPにはありました。
以上から、揮発性成分含有量に応じて決定される粘性度よりシリカの含有量によって決まる粘性度の
方が強いと理解してよろしいのでしょうか?よろしくお願いします。
(1/29/99) |
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A |
クマノミさんのご質問は,シリカ(SiO2)の含有量が高いほどマグマの粘性は 高い(ねばっこい)が,一方でマグマ中の揮発性成分が多ければ粘性は小さくなり, しかもシリカの含有量の多いマグマほど揮発性成分量は多いから,両者の作用はうち 消すように働くはずである.実際には両者の効果を比較すると前者のほうが大きいの ではないか,というご質問ですね. おおむね,そのようなご理解で良いだろうと思います.マグマはシリカを主成分と する化学組成をもつ液体ですが,シリカが非常に多いマグマでは,珪素の原子のまわ りを酸素原子4個が取り囲むSiO4四面体がお互いに酸素を共有しあって骨組みを 作ります.これが粘性を高くしています.マグマ中の他の元素の陽イオンはそのSi O4四面体をばらしていく役割を果たしますので,それらの多い,つまりシリカ含有 量の少ないマグマほど粘性は低くなります.一方,マグマ中の揮発性成分,主として 水の分子もやはりSiO4四面体をばらしていく役割を果たします.したがってシリ カ量の多い流紋岩質のマグマであっても水が多ければシリカ量の少ない玄武岩質マグ マと同程度にまで粘性は低くなることもありえます.しかし,そうなるのに必要なだ けの水の量は8-10%にもなり,地表に噴出したマグマの溶かし込みうる水の量はそん なに大量ではありませんので,結局,流紋岩質のマグマはたとえ玄武岩よりも多くの 水を含んでいたにしても粘性はそれよりも高いということになります. なお,マグマの温度も粘性に大きく影響し,高温であるほど粘性は下がります.一 般的にシリカの多いマグマほど温度は低いので,このことからもシリカの多いマグマ の粘性は高くなります. (2/25/99) 三宅康幸(信州大学・理学部・地質科学教室)
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