火山についてのQ&A |
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Question #18 | |
Q |
火山活動と気候変化について教えてください。
(5/18/97) |
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A |
爆発的な火山噴火は,大量の火山灰・火山ガスを大気中にもたらします.細 粒の火山灰は成層圏を漂い,一時的に日射量を減少させますが,やがてその大 半は地表に舞い降りてしまいます.一方,火山ガス中にふくまれる二酸化イオ ウは,光化学反応によって硫酸液滴となって数年程度成層圏に滞留し,太陽放 射を散乱・吸収して地表温度を低下させる要因となり得ます.これに対し,火 山ガス中にふくまれる二酸化炭素は地表面からの赤外放射をさえぎるため,そ の量が大量であれば長期にわたって大気温度を高める温室効果をもたらし得ま す. このように火山噴火がもたらす物質には,地表温度を高める要因となり得る ものと低める要因となり得るものとがふくまれ,その中には短期的な効果をも たらすものと長期的な効果をもたらすものとがあります.それぞれの物質の割 合や量は,火山によって,あるいは個々の噴火によって異なるのが普通です. 実際に大規模な火山噴火と時を同じくして気候変化があったかどうかを歴史 記録や考古学的・地質学的記録から調べると,広域的な気候変化(とくに数年 程度の寒冷化)と相関がみられる例がありますが(たとえば,1783年のアイス ランドのラカギガル割れ目噴火や1815年のインドネシアのタンボラ火山の噴火 にともなう広域的な寒冷化),必ずしもそうでない例もあります.もちろん気 候変化の要因は火山噴火だけではなく,エルニーニョなどの海洋変動や,人間 活動に起因する物質の放出が原因となる場合もありますから,火山噴火と気候 変化の関係を調べる際には注意が必要です. 小山真人(静岡大学教育学部)
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