火山についてのQ&A

≪前のQ&A≪
≫次のQ&A≫

トピック項目表示

QA番号順表示

小中学生から多い質問

Jump to #
(半角数字)

「Q&A火山噴火」

に寄せられた意見集

Q&A HOME

VSJ HOME

Question #165
Q 火山の成因について教えていただきたいですが。 さらに、火山の発生については海溝や中央海嶺などと何の関係を持っていますか。
(11/27/98)

林:学生:17

A
 地球は,内部に多量の熱をたくわえていて,地下では深いところほど温度 が高くなっています(通常の場所では深さ100mにつき3℃程度).しかし, 深いところほど圧力も高くなり,圧力が高いと岩石の融解温度も高くなっ て,岩石は融けにくくなるので,大陸や海洋の通常の場所では,どの深さで も,地殻やマントルの岩石が融けるほどの温度にはなっていません.


 ところが,マントルの岩石(かんらん岩)がゆっくりと(1年に数mm〜 数cm程度)上昇する流れがある場所では,地下深くにあった高温の岩石 (1400℃程度)が浅くて圧力の低い場所に運ばれるので,そこで岩石がわずか に融解し,玄武岩質のマグマが発生します.マグマは周囲の岩石より軽いの で,集まりながら上昇し,ついには地表や海底に噴出して火山をつくります (噴出時の玄武岩マグマは1200℃程度).大洋中央海嶺の下には,マントル が湧き上がって両側へ拡がる流れがあり,海嶺の中軸地溝帯に沿って活発な 火山活動が起きています.アイスランドやアファー三角地帯では,海嶺の火 山活動の様子を陸上で見ることができます.ただし,海嶺から離れた場所で も,スポット状のマントル上昇流(プルーム)によって,大きな火山体が形 成されることがあり,ハワイに代表されるこのような場所をホットスポット と呼びます.


 海溝は,逆に下へ向かうマントルの流れがある場所で,そこではマグマは 発生しません.しかし,斜めに沈み込む冷たいマントルの上側には,熱いマ ントルが浅いところに上がってきていて,そこで発生したマグマが,海溝と 平行に伸びる数列の島弧火山帯をつくっています.東北日本の那須火山帯や 鳥海火山帯はその例です.海溝からは,多量の水を含んだ海洋底の堆積物や 変質して水を含んだ海洋地殻の玄武岩が,冷たいマントルと一緒に沈み込み ますが,深く沈み込むと温度が高くなるので水が放出され,この水が上側の 熱いマントル中に浸透して,そこの融解温度を下げて岩石を融け易くすると ともに,海嶺やホットスポットとは違った,島弧特有の水に富むマグマを形 成すると考えられています. (11/29/98)

石渡 明(金沢大学・理学部・地球学科)


May 2012. The Volcanological Society of Japan.  kazan-gakkai@kazan.or.jp