火山についてのQ&A |
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Question #1063 | |
Q |
先ほど質問いたしました「ふくろう」です。わかりづらかったように思いますので、もう一度質問します。 質問:火山灰とは、上昇してきたマグマの破砕(ガス成分が発泡c張することによる破砕)によって吹き飛ばされたマグマの小さな(2mm以下の)かけらが空気中で冷やされて固まった粒子であると考えて良いのでしょうか。マグマ由来ではなく、すでに火口にたまっていた火山灰も同時に吹き飛ばされたり、火口付近の山体の一部が破壊され粉々になって火山灰となる(?)こともあるのでしょうか。また、降下してきた火山灰がマグマ由来か、すでに火口にたまっていた火山灰が吹き飛ばされたものかはわかるのでしょうか。 それから、火山灰の各粒子は、どんな物質であるのか。 お願いします。 (09/27/00) ふくろう:教諭:33 |
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A |
「ふくろう」さんの質問はかなり専門的ですが、大変重要なことで、有珠山や三宅 島噴火でも地質学研究者がマグマの関与を調べるためにしばしば検討していることで す。 水蒸気爆発の場合にはマグマ由来の物質が含まれず、火口の下の既存の岩石が粉々 に破壊されて細かい火山灰が生産されます。岩石の破片が地上までの狭い通路を水蒸 気と一緒に勢いよく通過し、火口の中を行ったり来たりしている間に、岩石どおしが ぶつかり合って大変細かくなってしまうのです。一方、マグマ噴火の場合にはマグマ が爆発自身によって粉々になったり、同様に、マグマの破片どうしがぶつかってやは り粉々になります。この場合は一般に粗い粒子からなります。その中間的な噴火であ るマグマ水蒸気爆発の場合には、火山灰粒子を見てすぐにどれが噴火を起こしたマグ マの粒子かを言い当てることは簡単ではありません。 古い岩石の破片であれば一般にやや変質の進んだ岩石(火山岩、深成岩、堆積岩) です。新鮮で気泡の入ったガラス質の破片があればマグマと疑ってみることができま す。ガラスは液体マグマが急激に冷やされたものです。でも、古い堆積物にもそのよ うな物が残っていることがありますので注意が必要です。新鮮な発泡したガラス質粒 子が時間とともに次第に多くなったり大きくなれば恐らく本当のマグマでしょう。粒 子一粒ごとのできた年齢を正確に測定できれば確実に判断できますが、残念ながら、 今のところそのような手法はまだ確立されていません。 (9/29/00) 中田節也(東京大学・地震研究所・火山センター) |